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インタビュー「僕のルール・私の理由」

世界の子供にワクチンを・・・JCV

2008年6月、「僕のルール・私の理由 エッセイコンテスト」の企画がスタートしたばかりの頃。「僕のルール」を実践している支援者のみなさんにお集まりいただき、座談会を開催しました。その時、ご参加いただいた亀山さんと石橋さんは、この会での出会いを機に、新たな交流をスタートされていました。異なる世界でご活躍のお二人が、それぞれどんな刺激を受け合っているのでしょうか…。石橋 幸緒さん (いしばし さちお)1980年、東京生まれ。LPSA(日本女子プロ将棋協会)所属の女流棋士。同協会理事。 第18期 女流王位(2007年〜)。小学校3年生の頃、偶然出会った将棋教室で将棋を覚え、12歳でアマ女流タイトルを数々獲得。19歳で初タイトルを獲得。特別支援学校に通っていた経験から、ハンデを持つ人への将棋の普及にも積極的に取り組む。 著書『生きてこそ光り輝く』など。 石橋幸緒さんの プロフィールはこちら 富士火災海上保険株式会社  首都圏第二本部 本部長 亀山 昌宏さん《亀山さんの考えたルール》 「みんなの健保でみんなへワクチン」活動 医療保険「みんなの健保」を販売した収益のなかから一定額を積み立て、半年に一度JCVに寄付するという活動。企業としての「僕のルール」、第1号となる。 亀山昌宏さんの 取材記事はこちら
寄付のルールを作ったことで、 対局に向かう気持ちが変わった

 

ルールの内容、はじめられた経緯を教えてください。

1回対局(将棋の対戦のこと)するごとに、ポリオワクチン10人分、勝ったら20人分、タイトルをとったら50人分という寄付のルールを2007年からはじめています。ルールをはじめるにあたっては、和田投手から大きな影響を受けました。私は、プロ野球がすごく好きで彼の活躍をよく知っていましたが、あるとき駅で和田投手の「僕のルール」のポスターを見かけたんです。寄付をルールにするという考え方が斬新でしたし、金額ではなくワクチン何人分という形で支援の成果を語れるのもかっこいいと思いました。

このルールをはじめた年はプロになって15年目に当たる年でした。将棋は基本的にトーナメント制で、1つでも負けるとすぐに戦いは終わってしまいます。プロの技術力は、ほぼ同レベル。長時間戦っていて、集中力が切れ、弱気になって心が折れた方が負けてしまうんですね。当時私は、15年プロを続けてきて、ちょっとマンネリ化する部分や、自分の中に揺らぎが生まれているのを意識していました。でも、支援のルールを課して対局にのぞむようになると、自分一人のために戦っているのではない、遠い国の子ども達のための勝負でもあるんだ、という気持ちから力が湧いてきたんです。それからは将棋を続けていく上で、いいモチベーションになっています。

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石橋さんと和田投手は、ともに1980年生まれで同じ歳。

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「私は小さいころから身体が弱くて長い間入院生活を送っていました。私にとって、ワクチンや医療はとても身近なものでしたので、ワクチンで支援することはしっくりなじみました」

二人の出会いから、 ひとつの講演が実現し、多くの心を動かした

お二人の交流のきっかけは?

亀山: 約1年前に座談会で初めて石橋さんに出会ったのですが、健康面でのハンデを持ちながらプロとして活躍され、支援活動についてもしっかりした言葉で語っておられる姿にとても心を揺さぶられました。そして、その生き方や勝負に向かう姿勢は、私たちの会社で保険の営業をする人たちにもきっといい影響を与えると感じたんです。幸い、座談会の帰り道にたまたま同じ電車に乗り合わせたので、講演を依頼できるかどうかを相談させていただきました。


石橋: 私は、亀山さんが大きな企業で組織全体を動かしながらルールを実践し、個人を越えて大きく広げていく、その実践力がすごいと思いました。組織の中で話を通すには、単なる情熱だけでは難しい部分もあると思うんです。私の講演についても、本当に実現できるように運んでくださいましたよね。


亀山: 講演でお話し頂くには社内で稟議する必要があったので、3カ月後くらいに正式に依頼させていただきました。場所は岡山で、うちの会社の90周年記念セミナーでの講演でした。タイトルは、「己に打ち勝つ」でしたね。


石橋: 保険の営業も、将棋も「勝負」がポイント。だから、どう勝負に向かうか? 特に負けたときにどう考えるか? についてお話することにしたんです。


私たちプロの棋士は、1週間から10日ごとに対局があります。対局は自分の心の状態に左右される面が大きいので、負けた後ずるずる気持ちを引きずっていたら、勝てる勝負も負けてしまいます。失敗の原因をさぐることは大切だけど、負けたという感情にいつまでも引きずられてはいけない。そういうお話をしました。


亀山: そもそも、石橋さんも私たちの会社も「ワクチンで支援している」という共通点があったので、社員たちも親近感を持って講演にのぞんでいたと思います。以前から、スポーツや勝負の世界で生きる人の言葉は、ビジネスでも学ぶことが多いと感じていましたが、それにしても石橋さんのお話は社員の心によく響き、人生観が変わった社員も多かったようです。特に驚いたのは、心が折れかけていた若手の社員がこの講演をきっかけに一念発起し、営業成績で1番をとってしまったことです。


石橋: それはうれしいですね。自分が正面から向き合っているもの、それは保険の営業だったり、将棋だったりするわけですが、気持ちを前向きに整えて仕事にまっすぐ取り組むことは、とても大事だと思います。その結果として、成績が上がったり、相手から気持ちを返してもらえたりすると仕事がどんどん楽しくなる。寄付のルールを仕事につなげている場合は、仕事を楽しく続けることで支援も長続きしますよね。続けるって、とても大事なことだと思います。

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「同業の会社が同じように寄付のルールをはじめるのは困るんじゃないかという声もいただきますが、そんな心配はしていません。お客様は、ワクチンのことだけを考えて保険商品を選ぶわけじゃないですよね。自信をもってご提供できる保険商品にさらにワクチンの支援という付加価値があるから、選んでくださる。だから、私たちは、恐れることはありません」

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人生は出会いの連続。 たくさんの人から刺激をもらって成長する(亀山) 個人に根ざしたルールから、 社会をまきこむルールに発展させたい(石橋)

支援を続けていくなかで感じること、今後取り組んでいきたいことなどあれば教えてください。

亀山: ルールを実践する企業がもっと増えて欲しいですね。企業がルールを取り入れていくには、確かに大変な面はあります。でも、1つ前例を作って扉を開いておくと、それをいい形で真似てくれるところがでてくる。たとえばそれが同業他社であっても、企業で取り組むルールが広がっていくことはうれしいですね。


石橋: 私のルールは、自分の対局にひもづけた個人的なルールですが、亀山さんのお話を聞いてからは、将棋界全体や将棋文化に広がるような、社会性を帯びたルールを考えてみたいと思うようになりました。


亀山: それは楽しみですね。でも、日本ではまだまだ寄付への意識が薄いように感じます。


石橋: きっかけがあまりないのかもしれませんね。私が所属する日本女子プロ将棋協会では将棋教室を主宰しているのですが、少しでも寄付に触れるきっかけになればと思い、ペットボトルのキャップを集める活動をやっています。


亀山: まずは小さなことでもいいから、やりはじめてみることが大事ですね。ワクチンの支援をするということは、こちらがだれかを助けているようにも見えますが、実は支援させてもらっている側にもさまざまな恵みがありますよね。たとえば将棋には全く興味のなかった私が石橋さんに出会えたことも、その恵みのひとつです。
人間はたくさんの人に会って、刺激をもらうことではじめて成長できるのだと思います。人との出会いには感動がありますし、その感動が次の行動の大きな原動力になります。ワクチン支援も、いい出会いと感動がたくさん重なれば、もっと大きく広がっていくと思います。

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「知り合いで手品をする人がいるんですが、ミャンマーに出かけて手品をやったら子ども達が喜ぶんじゃないかと思って提案してみました。実現させたいですね」

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企業と将棋という別の世界で生きてきたお二人。「僕のルール」をきっかけに出会って、講演会を実現したり、それぞれが相手からいい影響を受けたりしているのを知って、とてもうれしくなったよ。寄付という共通のテーマをもったお二人だからこそ、働くことや生きることについての大切なことも共感できる。そして、周りの人たちにもそれが伝わっていくのかもしれない。「点と点」だった二人の想いが、ワクチン支援をきっかけに「線」につながって、次は、周りの人も包む「面」になっていく。みんなの想いをつないでいくことは、不可能じゃないんだってことを感じた取材だったよ。

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