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インタビュー「僕のルール・私の理由」

世界の子供にワクチンを・・・JCV

2008年にJRA日本中央競馬会の騎手としてデビューし、武豊騎手の記録を抜いて最速100勝を達成するなどめざましい活躍をみせている三浦皇成さん。デビュー2年目となる2009年3月からワクチンへの寄付をはじめてくださいました。19歳という若い皇成さんがどんな気持ちで寄付をはじめたのか…。この夏、札幌を拠点にレースに出場している皇成さんにお話をうかがいました。
JRA騎手 三浦皇成さん(みうら こうせい)
1989年、東京都生まれ。2008年にJRA騎手免許試験に合格し、同年デビュー。新人最多勝記録を塗り替えるなど華々しい結果を残し、競馬界にさっそうと現れた新星として注目を浴びる。2008年は、JRA賞(最多勝利新人騎手)、日本プロスポーツ大賞最高新人賞、民放競馬記者クラブ賞など多数受賞。2009年も、競馬レースの頂点のひとつといわれる日本ダービーに初騎乗するなど、活躍をみせている。
山元香里さんのプロフィールはこちら

遠い国で苦しむ人がいても、なにもできない自分。一日も早く、寄付をはじめたかった

 

社会貢献にはいつごろから関心をもっていましたか?

はっきりと覚えていませんが、小学生になる前からコンビニの募金箱に1円とか2円を寄付していたので、そのころからだと思います。 当時、自分と同じ年頃のストリートチルドレンや貧困の中で生きる人たちのことをテレビで知ったのですが、ショックでした。僕のように日本に生まれて幸せに暮らせる人と、何か悪いことをしたわけでもないのに、生まれた国や地域の違いだけで苦しみを背負う人がいる不公平さに、「なんで? なんで?」といたたまれない思いを感じました。何もできない自分がとてもはがゆかったです。

最近知ったのですが、僕の親は以前から発展途上国の子どもの里親支援を実践していたようです。でも、「支援をしなさい」ということを直接言葉で言われたことはありませんでした。親の背中を見ているうちに「自分も働くようになったら、だれかのために、なにかをしなくてはいけない」という気持ちがしぜんと芽生えてきたのだと思います。

僕は5歳のときに騎手になろうと決意したのですが、純粋に馬に乗ることが好きだっただけでなく、「騎手はお金が稼げる」ということもかなり強く意識していました。志す仕事に就いて、きちんと稼ぐことは「かっこいい」と思っていたんです。早く騎手になって自分でお金を稼ぎ、一日でも早く寄付をしたいとずっと思っていました。

三浦皇成さん

馬という動物は心が敏感で、喜怒哀楽がとてもはっきりしているそうです。そんな馬と付き合ううちに「我慢を覚えた」と、皇成さん。

三浦皇成さん

意外なことに、レースに勝ったときのほうが反省点が多いそうです。

寄付を公に行うことで、自分の行動にいっそう責任を感じるようになった

ワクチンを寄付するルールの具体的な内容を教えてください。

レースに出場するごとに、ポリオワクチン30人分、1勝ごとにDPTワクチン※100人分というルールを作って、今年の3月から毎月1カ月分をまとめて寄付をさせていただいています。競馬は、結果がすべて数字であらわれるのですが、このルールだとワクチンへの寄付もレース結果と直結して数字で出ますよね。そこも、すごくいいなと思っています。


寄付をはじめて、ご自身でなにか変わったところはありますか?

レースのときは、勝負に集中していますので寄付のことに想いをはせたりはしないんですが、僕が騎乗したり勝ち星をあげることで、遠い国の子どもを救えるわけですから、勝ち負けに加えて守るべきものができた、と実感しています。

騎手は多いときには1日に12レースも出ることがあります。重要なのは、負けたときに気持ちを引きずらないこと。忘れることが必要なんです。ただ、そのまま忘れっぱなしだと、反省もせずに次々と進んでいくことになってしまいます。でもルールをはじめてからは、毎月月末になるとその月に寄付できたワクチンの数が出てくるようになりました。それが、「あのとき、こうしておけばレースに勝ってもっとたくさん寄付できたのに…」と、反省点を振り返るいい機会になっています。いくらいいレースでも2着と1着では、寄付できる本数が大きく違ってきますからね。

ブログで毎月の寄付本数を常に掲載しているのですが、反響は大きいですね。「三浦がワクチンに寄付しているなら、自分も何かやろう」と思ってもらえるように、みんなから認められるようなちゃんとした大人にならなくてはと強く感じています。

寄付をしているから、エライとか大人だとかいう気持ちは僕のなかには全然ありません。

ただ僕にとっては、自分の理想の人間像に近づくためにも、寄付を続けることが、必要なんです。たとえば、こうして寄付していることを公にしていますから、僕がきちんとした社会的行動をとらないと「世界の子どもにワクチンを寄付すること」自体のイメージを損ねてしまうことにもなりかねません。寄付のルールを始めてから、社会に対する責任も、強く意識するようになりました。

※DPTワクチン:ジフテリア・百日咳・破傷風の3種混合のワクチンのこと。

ワクチンの種類と価格について、詳しくはこちら
http://jcv-jp.org/vaccine/encyclopedia.html

三浦皇成さん

皇成さんがしぜんと寄付をするようになった背景には、ご両親の影響が大きいようです。「かっこいいと思う理想の人は?」の質問には、迷いなく「お父さん」の答えが。

三浦皇成さん

毎月末に寄付するワクチンの本数は、お母様が計算しメールで知らせてくれるそうです。

三浦皇成さん

「寄付に限らず、なにかをやろうとする時に、やり方の正解は1つではないと思うんです。まずは、自分がいいと思ったことを素直にはじめてみる。僕自身はそういう風にして騎手をめざし、寄付もはじめてきました」

寄付を通じて、競馬のイメージをいい方向に変えていきたい

皇成さんご自身の夢、そしてこれから寄付を続けていく上での目標などありましたら教えてください。

競馬については、人によって、さまざまなイメージをもっていると思います。でも、僕は、競馬は立派なスポーツで、オリンピック競技になってもいいくらいだと考えています。これから、もっといいイメージに変えていきたいですね。

寄付は自分からしぜんにはじめるものなのだと思うので、無理に広めたり押しつけたりするつもりはありません。でも最終的には、僕がこうして寄付をしていることを多くの人に知ってもらって、僕がレースに勝てば世界の子どもが救われるんだ、ということをファンや一般の方にイメージしてもらえるようになりたいと思っています。小さな一歩かもしれませんが、僕のルールを、競馬のイメージを変えるきっかけにしたいんです。

先日ある先輩騎手が「お前が寄付のルールをやる意義は、そこにある」と言ってくださったのですが、とてもうれしかったですね。こんな風に感じてくれる人が身近に1人いるということは、同じように思ってくれる人は世の中にもっといるはずです。そのためにも、ちゃんとした大人にならなくてはと思います。寄付をはじめたことは、僕にとって夢の実現に向かうターニングポイントになるような予感がしています。

三浦皇成さん

皇成さんのブログには、ワクチン寄付のことを知って、やる気や勇気をもらった、自分もなにかはじめたい、という一般の方からのコメントがたくさん寄せられています。

三浦皇成さん

今年の春に皇成さんが寄付をはじめてくださったとき、JCVではそのことを早くみんなに知らせたくて、すぐにインタビューを申し込んだんだ。そのとき皇成さんからは、「数ヶ月たって、きちんと自覚をもってから気持ちを伝えたいです」というお返事が返ってきた。「自分が仕事で手を抜けば、寄付するワクチンの本数が減ってしまう」「僕の行動で、ワクチン寄付のイメージを損ねないように、自分の責任を強く意識するようになった」という言葉のとおり、寄付することに、やりがいだけではなく、責任感をもっているからこそ、「待ってほしい」というお返事だったんだね。19歳で寄付をはじめて、いまさらに「新しいステージが見えてきた」という皇成さんの、今後の活躍が本当に楽しみになったよ!

三浦皇成さん
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